結論から言えば、
現状では磁気ネックレスの効果に関する
科学的根拠は乏しい
(科学的根拠を十分に立証した学術論文が存在しない)
磁気ネックレスは、首に装着する際に身体に微弱な磁場を発生させるアクセサリーです。これらのネックレスは、磁気療法として知られる補完代替療法の一種として販売されています。磁気療法は、磁石を体に置いたり磁場に損傷のある部位を置いたりして、疼痛の軽減や治癒の促進を図るものです。
磁気ネックレスの効果に関する研究は古くからあり、これらの学術論文は存在するものの被験者へのアンケートを基とした結果をもって考察されたものです。それらは一定の考察資料としては認められるものの、磁気ネックレスの効果に関しての科学的な根拠が乏しく、現時点では効果についての科学的な結論を導き出すまでには至っていないと言わざるをえません。これまでに多くの研究や臨床試験が行われてきましたが、磁気療法の効果についての試験結果には、「一定の効果が認められる」「効果は認められない」という両者の見解があり結論は出ていない状況なのです。しかし間違わないでいただきたいのは、「科学的にそのような効果はあり得ない」といっている訳ではありません。効果を科学的に検証する学術論文がない、つまり「どのような理由で効果が得られるのかが十分に解明されていない」ということです。医学関連の研究は特に多くの研究費を必要とすることもあって、社会的に優先される研究とそうではない研究がどうしても顕著になります。残念ながら磁気療法は後者に類別されているということだと考えられます。
一部の人々は、磁気ネックレスが頭痛や関節痛、炎症、緊張などの症状の軽減に役立つと主張しています。一方で、他の研究ではプラシーボ効果によるものとして、磁気の力が直接的な影響を与えているとは考えられないとされています。つまり一言でいえば「現時点ではグレーゾーンである」ことは間違いありません。
このように意見は分かれているものの、一方で多くの人が肩や首のコリの改善に効果があると感じているようですので、コリに悩む場合は試してみる価値はありそうです。
現時点で磁気ネックレスが症状の改善や治療に効果があるかについては確固たる証拠がないという状況ですので、医学的な見地(臨床の立場)において治療法として一般的に用いられるものではないでしょう。ちょっと肩がこっているというのであれば、ストレッチや軽い運動などとともに磁気ネックレスを試すのもよいとは思いますが、もし肩や首のこりにこれ以外の健康上の大きな問題が隠れているかもしれないと少しでも不安に感じるのであれば、信頼のおける医療機関に相談して科学的に証明された検査・治療を選択することが重要です。
磁気ネックレスが体に与える影響に関して
提唱されているいくつかの説
磁気ネックレスが体に与える影響(磁気の効果)に関する理論はいくつかの異なる説が提唱されていますが、いづれも科学的な証拠が不足しているため、これらの理論は主に仮説的なものと言わざるを得ません。いくつかの理論を以下に示します。
①血流改善と酸素供給増加
磁気療法が血流を改善し、酸素供給を増加させるという主張です。この理論では、ヘモグロビン中の鉄分子に磁場が作用し、血液が酸素をより効率的に運搬するとされています。鉄分子に磁場が作用する可能性には一定の理解はできるものの、それ以上の効果についての科学的な確証がありません。
②神経伝達の変化
磁気ネックレスが神経伝達に影響を与え、痛みや不快感を軽減する可能性があると主張されています。具体的な神経伝達への影響メカニズムについては詳細が不明です。
③生体磁場の調整
磁気ネックレスが体内の生体磁場を調整し、バランスを取るのに役立つと主張しています。しかし、生体磁場に関する証拠は限られており、その存在と外部磁場の影響についての科学的な合意は得られていません。
④プラシーボ効果
一部の磁気療法の支持者は、効果が実際には磁力そのものではなく、被験者の信念や期待に起因する可能性があると主張しています。このような場合、プラシーボ効果が磁気ネックレスの効果の主要な要因であるかもしれません。この効果に関しては、この後詳しく説明します。
これら4つの説が提唱されていますが、重要なことはこれらの理論が磁気ネックレスの効果についての科学的な証拠を十分に提供できていないことです。磁気療法に関する研究は継続中であり、現時点では確定的な結論に至っていません。
磁気ネックレスは
プラシーボ効果なのではないか?
人間の生体に自然治癒力が備わっていることは、容易に理解できるものと思います。古くから自然治癒力を高める為に養生法が工夫されてきました。養生法は生活習慣の調整で、食事・運動・心の持ち方で構成されます。心の持ち方で大切な考え方は、前向きな気持ち、希望、生きがいといった事となります。このような理解のもとで説明してゆきます。
プラシーボ効果(プラセボ効果)とは、主に医学や心理学の分野で見られる現象です。偽薬や無効な治療法にも関わらずそれを知らされない事で、実際の治療と同等以上の効果を持つと患者本人に認識されて患者の症状が改善する現象を指します。プラシーボは、ラテン語で「喜ばせる」という意味であり、患者に対して実際の治療と思わせるような見かけ上の治療法や薬剤のことを指します。
この現象は、患者の信念、期待、意欲、心理的な要因が実際の治療の効果に影響を与えることによって引き起こされると考えられています。簡単に言えば「病は気から」という考えに近いものです。プラシーボ効果の具体的なメカニズムは完全には解明されていないものの、脳の神経生物学的プロセスや内因性オピオイド系の活動などが関与している可能性があります。プラシーボ効果は臨床試験などでの研究にも影響を与えることがあります。
なお、単なる思い込みだけでなく、時には治療意欲の向上によって生活習慣の改善が促されることによって症状が改善するという場合も考えられます。先に述べた養生法の考え方において、心の持ち方によって食事習慣・運動習慣の改善が促されるという状況です。
磁気ネックレスの効果は、プラシーボ効果ではないのか?という疑問を抱く方もいらっしゃるかと思います。前述のとおり科学的根拠が十分に示されていない以上は、これを否定することはできません。しかし、肩や首の軽度のこりが楽になるのであれば、プラシーボ効果であってもよいのではないでしょうか。プラシーボ効果は、患者の信念や期待が治療効果に影響を与える現象であり、実際には効果のない治療法でも、患者が信じ込むことで症状の改善が見られることがあります。
磁気ネックレスを使用することによって一時的な症状の軽減や快適感が得られる場合もあるかもしれませんが、特に症状が重い場合に重要となるのは、それが真の治療効果としての持続的な効果を持っているのかも考えるべきだということです。科学的に効果が確認された治療法がある場合、それらを選択することが望ましいでしょう。磁気ネックレスを使用する際には、プラシーボ効果を含む可能性を理解しておくべきだと考えます。特に重篤な健康上の問題を含む可能性がある場合には、磁気ネックレスのみを頼りにせず、適切な医療機関での診断と治療を受けることが大切です。
管理医療機器の認証は安全性を担保するもの
磁力の上限について
このインターネットサイトに掲載している磁気ネックレスは、全て管理医療機器の認証(引用規格であるJIS T2007:2018を満たす)を取得した製品です。では、管理医療機器の認証をしている製品は、効果が保証されていると言えるのでしょうか?これに対する答えは、残念ながら「いいえ」です。
正しくは、「管理医療機器認証は安全性を担保するもの」であると考えるのが妥当だということになります。下記のリンクから「家庭用永久磁石磁気治療器基準」をご確認ください。すこし大げさな表現になりますが、管理医療機器クラスⅡとは、「人の生命及び健康に影響を与えるおそれがあることから、その適切な管理が必要なもの。」ということになります。基準に沿って設計・製造し、適切に使用されるべきだということになります。
なお、日本産業規格(JIS T2007:2018)において磁気ネックレス(家庭用永久磁石磁気治療器)の最大磁束密度は35 mT以上200 mT以下と定められており、管理医療機器の認証においてもこの基準で製品の製造、および検査が行われています。
一方で、「家庭用永久磁石磁気治療器基準」の中で、「[使用目的又は効果]装着部位のこり及び血行の改善。一般家庭で使用すること。」という記述もあります。項目名に使用目的と効果が一緒に記載されていますが、この内容は、使用目的を明確にするためのものであり、この効果を期待して使用するということが書かれていることになります。
このことから、メーカーや店舗は管理医療機器の認証を取得することで、この一文を明示して製品を販売することができるということになっています。使用目的ならともかく、効果と言って良いのかは疑問ですが、それを踏まえて「装着部位のこり及び血行の改善が見込まれます。ただし効果効能には個人差があります。」という少し含みを持たせた表現にすることが多いようです。つまり、効果効能を確定的にアピールすることはNGとなります。このサイトでも同じ立場でよく注意して執筆しています。
肩・首のこりに対するおすすめの対処法
症状が軽い場合
多くの方が感じる首・肩の疲れ・こりの軽い症状の場合についてのおすすめの対処法になります。まずはこりの原因への対処としては、姿勢矯正が重要となります。特にPC作業やスマートフォンの長時間使用では、頭が体の中心よりも前に位置しがちです。頭部は相当重いため、このことが首・肩がこってしまう大きな要因となります。PC作業ではキーボードの位置を変えるなどによって姿勢の矯正を試みることをお勧めします。また、長時間に渡る場合は途中で休憩することも大切です。一方、冬の時期や夏の冷房によって首・肩のこりを感じる方は、保温も効果的だとされています。
次にこってしまった状態からのリカバリー方法としては、軽いストレッチなどの運動をすることが効果的だと言われています。
これらの対処法に加えて、磁気ネックレスを試してみるのも良いかもしれません。一つの方法に捉われず、無理しない範囲でいくつかのことをしてみるのがお勧めです。
症状が重い場合・症状が続く場合
症状が重い場合や上記対策をしても症状が続く場合は、医療機関を受診して医師の診断に基づく治療を受けることをお勧めします。上記対策はあくまで民間療法の範疇です。首や肩の筋肉や筋を痛めている場合の他、さらに別の疾患が背景に潜んでいる可能性もありますので、症状をよく伝えて適切な治療を受けるようにしてください。
深刻な例を挙げれば、左肩の痛みは心臓の病気である狭心症や心筋梗塞が原因で起こる場合もあります。狭心症は、早歩きや坂道、階段を上り降りしたときなど運動量が多い時に動悸や息切れが現れます。この際に左肩から左手にかけての痛みを感じることがあります。また、心筋梗塞は、前胸部が急に締めつけられるような激しい痛みが現れますが、左肩にも痛みを伴うことがあります。※これは情報提供のみを目的としています。医学的なアドバイスや診断については医師にご相談ください。
症状が軽い場合 | ストレッチ、軽い運動、保温、姿勢矯正など。 磁気ネックレスを試してみてもよいかもしれない。 |
症状が重い場合 症状が続く場合 | 医療機関を受診し、医師の診断に基づく治療を受ける。 |
血行改善効果はどこからくるのか?
▲ある製品の装着イメージ(メーカーの許諾を得て製品名を伏せて掲載)
この参考図版はある磁気ネックレスの装着イメージで、磁気ネックレスを装着して一定時間後の様子を示しているとのことです。図版はサーモグラフィーと言っているわけではなくあくまで「イメージ図」という扱いになっていますので体温の上昇とは言えませんが、両肩あたりの装着部位に何らかの影響が出ているように見えます。メーカーはこれを血行の改善と説明しています。
この現象が、「磁気ネックレスの磁力による効果」なのか「ネックレスのループ部分の接触刺激による効果」なのか「冷たいネックレスによって逆に体温を上げようとする体温の恒常性による効果」なのか、「心理的効果」なのか、それとも「これらとは別の理由による何らかの効果」なのかは不明です。しかし少なくとも何らかの影響があったものと推測されます。何の刺激なのかはわからないものの、また個人差はあったとしても一定の血行改善効果が認められる(可能性がある)のであれば、磁気ネックレスという製品を否定することもないだろうというのが、本サイトの立場です。
健康への影響はないのか?
副作用について
近年、病院ではMRI検査が病状の診断に多用されるようになりました。これは強力な磁場と無害な電磁波によって人体内部の組織を画像化する検査機器で、断面状態を取得してさらに連続的に断面状態を取得する事で立体的な構造を観察する事ができる検査装置です。MRI検査により正確な病状の診断と的確な診療に寄与しています。このMRIの静磁場はおよそ1T~1.5Tとされています。1Tというのは1,000mTですので、日本産業規格で定める磁気ネックレスの磁力の上限である200mTの5~7.5倍にもなります。検査の時間つまり磁場にさらされる時間は、部分的な検査では15分~30分、全身の検査の場合は1時間以上になりますが、その間我々は特に問題なくしていられます。これまでのMRIの普及の実績から考えれば、磁気ネックレスの磁力程度では特段の問題はないと考えられます。実際に管理医療機器の磁気ネックレスの基準を満たす製品は、説明書に示される適正な使用方法で使用させる状況においては、一定の安全性が担保できるとされています。
磁気ネックレスとMRIでは使用時間や使用環境が異なるので一概には言えませんが、磁気ネックレスの磁力の影響も同様にあまり大きくはないといえそうです。とはいえ医療従事者が見守る中の検査となるMRIとは違い、磁気ネックレスは基本的に使用中の自己管理が必要な機器となります。心臓ペースメーカーやステントを使用している方は磁気ネックレスの使用が禁止されているのは取扱説明書に記載があるので当然ですが、そうでない方も様子を見ながら使用するようにしてください。
ごくまれに磁気ネックレスを使用するとほてってくるという事もあるようです。これは血行改善効果によるものだと考えられます。このような場合は、ご自身で調節し着脱していただく事になります。体の状況を判断しにくい就寝中の使用は注意する必要があります。体質的に合う合わないといったこともあるので、特に磁気ネックレスを使い始めた直後については就寝中の使用は避けるべきですし、使い始めでなくても就寝中の使用は避けた方がよいかもしれません。
納得できる価格の製品を選びましょう
磁気ネックレスに関連する一般的にうやむやにされている事は、ここまでの説明で一通りお伝えしたつもりです。現時点で科学的な説明はできないにしても、個人差があるものの人により効果が見られることを理解して納得できるのであれば、購入を検討してもよいかもしれません。しかし、明らかに高価過ぎる製品は選ぶべきではないと思います。
年々磁石やその他素材の価格が上昇していますし、素材やデザインの凝った製品はコストが上がることも理解できます。また、積極的に広告宣伝活動をしているメーカーはその分のコストも含まれています。加えてもう一つ付け加えると、磁石を使用した製品は加工機械による流れ作業で製造するのが難しいこともお伝えしておきます。磁石は磁力によって加工機械(主に鉄製)にくっついてしまいますので、手作業がどうしても発生するのです。磁石の数が多い製品は特に工賃が高価になりがちです。
少し具体的に価格について考えてみます。筆者個人の感覚になりますが機能重視でデザインにそれ程こだわらなければ5,000円程度まで、デザインや造りや素材コストによっては1万円程度までであれば納得ができますし、アクセサリーとしてのデザイン的な付加価値があれば2万円程度までならなんとか納得ができると感じました。当サイトで紹介している各社の製品は、その点で一定の理解ができるものだと個人的には考えています。もちろん価値感は個々人で異なりますので、ご自身で判断をいただければと思います。
それにしても限度がありますので、これらを勘案しても理解ができない程高価なものは避けることをお勧めします。度を超えて高価なものは、まじめなビジネスではないことも考えられますので、くれぐれもご注意ください。
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