磁気ネックレスはペットにも使えますか?

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磁気ネックレスはペットにも使えますか?

 ペットの健康を考えて「磁気ネックレスをペットに使えるのか?」という疑問を持つ方がいらっしゃるかもしれません。メーカー2社のホームページには、下記のような記載がありました。
メーカー各社のホームページ上での見解
コラントッテこれまで前例はございませんが、ペットが咬んだりひっぱったりして内蔵された磁石が取れてしまった際、誤飲の危険性がございますので充分にご注意ください。【危険性に関する注意喚起】
ファイテン人用として開発されている製品ですので、メーカーとしてはペットへのご使用はお勧めできません。【使用対象外であることの注意喚起】
 このように上記2社は「充分にご注意ください」「お勧めできません」と見解が分かれていますが、いずれにしても注意喚起であることに違いはありません。
 薬機法についてはどうなのでしょうか?当然のことながら薬機法は人に使用する前提での規定ですので、ペットに対して「血行改善」「こりの改善」などの効果(もちろん「健康の改善」なども含む)を謳うことはNGとなるでしょう(販売者側)。しかし、人用の磁気ネックレスをペットに装着すること自体は直ちに違法とは言えないと考えられます(使用者側)。このようなことにはなりますが、安全性の観点からも、ペットへの使用は慎重にすべきであり、筆者は「ペットには、人用の磁気ネックレスを装着すべきではない」と考えています。その理由、特に懸念点について詳しく説明いたします。
危険ですので、ペットに磁気ネックレスを着けてはいけません。

ペットには磁気ネックレスを装着すべきではない
そう考える理由、危険性についての検討

 重要なことから順に検討してゆきます。

1.誤飲の危険性

 ネオジム磁石など強力で小さいサイズの磁石は、誤飲によって重篤な症状を引き起こしてしまうことがあります。複数の磁石を飲み込んでしまった場合に、消化管を挟んで磁石が引き合うことで磁石の圧力がかかった部分が虚血に陥り、壊死して消化管等に穴が開くことがあります。その結果、腸の捻転・通過障害が発生し、広範囲の腸閉塞・虚血・壊死を生じ、誤飲に気付かず放置すれば死亡に至る可能性があるため、迅速に開腹手術等の適切な治療を行うことが必要となってしまいます。
 特に動物は、身の回りにある物を口に入れたり、噛んだりして調べようとする特性があります。この特性は反射的な行動の一つとも考えられています。いくら大切に育てているペットとはいえ、常に寄り添って逐一行動を確認し続けることは難しいため、大切なペットの周囲に危険なものを置かないことが重要となります。磁気ネックレスの磁石は外皮素材に封入されてはいますが、ペットが噛んだ場合に容易に磁石が脱落することが想像できます。このためペットの近くに磁気ネックレスを放置(ペットへの装着を含む)するという行為は大変危険なことと言えます。
 ペット用であれば、噛んでも磁石が出てこないように、例えば外皮を防弾チョッキに使われるようなケブラーやトワロンなどのアラミド繊維にするなどの特別な工夫が必要になるのではないでしょうか。それでも安全かどうか私にはわかりません。現状でそのようなペット用として使える製品は見受けられません。「人用として販売されている通常の磁気ネックレス」は、ペット用として使わないことを強くお勧めします。

2.アレルギーや皮膚反応の心配

 磁気ネックレスの素材によってはペットがアレルギー反応を示したり、皮膚にかぶれや発疹を引き起こすことがあります。人間にとって比較的に安全だとされる素材でも、特定の動物では過敏に反応することがあるかもしれません。

3.磁気の安全性が不明

 管理医療機器の磁気ネックレスは、製品表面の最大磁束密度が35mT以上200mT以下と決められています。これは人間にとっての安全性を考慮した磁力であって、ペットにとって安全かどうかの考察は一切含まれていません。研究結果に基づく明確なことは言えませんが、磁気ネックレスを装着している人が一時的にペットを抱き抱えるシチュエーションは容易に想像されますが、そのような状況ではすぐに問題が発生するとは考えにくいと思われます。これに対してペットに装着して長時間にわたって磁力にばく露される状況では前者の状況とは違いがあることが否定できません。大切なペットの為にも、影響が不明なことは避けるのが賢明かと思います。

4.効果の科学的根拠の不明確さ

 磁気ネックレスは装着部位の血行およびこりの改善の効果を目的とした製品ですが、その効果については科学的に解明されているとは言えません。経験的に肩コリや血行の改善につながったという事例は多く報告されていますが、あくまでこれは人間における事例です。人間であれば「装着しての良し悪し」を少なくとも感覚的には確認することもできますが、ペットではそうもいきません。ペットにとって本当に効果があるのか、またその効果が安全であるのかは極めて不確かです。

5.過信による健康状態の悪化

 ペットに限ったことではありませんが、磁気ネックレスが効果的であると過信して病気やケガの治療を遅らせることがないように注意する必要があります。小動物は体が小さいため、病気になると急激に悪化することもありますので、飼い主が普段からペットの体調を気にしてあげることが大切です。その上で、必要に応じて獣医の診断や治療が必要となることもしばしば起こります。

 以上、特に項目1.2.にあるような「もしもの際の大きなデメリット」に対して、3.4.でお伝えしたように「危険性がよくわからない」「明確なメリットが得られるかどうかわからない」ということから、私個人の見解にはなりますがペットに磁気ネックレスは使わないほうが賢明だと思います。

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